鍵を閉めたと分かっていても、何度も戻って確認してしまう。
手洗いを終えたいのに、汚れが気になってやめられない。
こうした行動に時間を取られ、生活が苦しくなっているときは、強迫症が関係している可能性があります。
強迫症は、強迫観念や強迫行為によって、強い苦痛や生活上の支障が生じる病気です。強迫性障害、OCDとも呼ばれます。
強迫観念とは、望んでいないのに繰り返し浮かぶ考えやイメージのことです。
強迫行為とは、その不安を和らげようと繰り返す確認、手洗いなどの行動や、頭の中で数を数えるといった行為を指します。
「やりすぎだ」と感じながらも、やめることが難しくなります。
自分の症状を過剰だと感じる程度には個人差があります。
きれい好き、慎重といった性格そのものとは異なります。
必要な確認を済ませても安心できず、やめたいのに繰り返してしまうことや、それによる負担に注目します。
汚れや感染が気になって洗い続ける、戸締まりや火の元を何度も確認する、物の配置や順番を納得できるまで直す、といった症状があります。
外から見える行動だけでなく、過去の出来事を頭の中で何度も確かめたり、決まった言葉を心の中で繰り返したりする場合もあります。
自分が誰かを傷つけたのではないか、傷つけてしまうのではないかという考えに苦しむ方もいます。
望まない考えが浮かぶこと自体が、その人の願望や実行する意思を意味するわけではありません。
恥ずかしさや誤解される心配から、症状を隠している方もいます。
外出を避けるなど、確認が必要になる場面そのものを減らしている場合には、周囲が困りごとに気付きにくいこともあります。
原因は一つではなく、体質や脳の働き、ストレスなどが関わると考えられています。
不安になって確認すると一時的には安心しますが、その安心が続かず、再び確かめたくなることがあります。
この繰り返しで、行動にかかる時間や回数が増えていきます。
家族に「大丈夫だよね」と何度も尋ねることもあります。
本人も家族も疲れ切ってしまう前に、不安と行動のつながりを整理することが大切です。
症状の強さには波があり、ストレスが重なると目立つこともあります。
不安が増えたときは、生活上の負担の変化も含めて経過を確認します。
主な治療には、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などによる薬物療法と、曝露反応妨害法(ERP)を含む認知行動療法があります。
症状や生活への影響、ご本人の希望に合わせて検討します。
薬物療法では、効果と副作用を確認しながら量を調整します。
効果の判断には8〜12週間程度かかることもあり、十分な期間をかけて経過をみます。
薬を自己判断で増減したり、急に中止したりせず、気になる変化は医師にお伝えください。
ERPは、不安を感じる場面に段階的に取り組み、繰り返していた確認や手洗いなどをせずに過ごす練習です。
本人の同意と安全を大切にし、治療者と相談して進めます。
強い不安を一度に我慢させる方法ではありません。
練習する場面と難しさを一緒に決め、不安や不確かさが残っていても、いつもの行為をせずに生活を続ける経験を重ねます。
通常必要な衛生管理や安全確認までやめるという意味ではありません。
ご家族の関わり方も治療の一部となり、責めたり急に行動を禁止したりせず、支援の仕方を相談します。
ご家族が何度も代わりに確認したり、安心できるまで答え続けたりすると、症状の繰り返しに巻き込まれる場合があります。
急に協力をやめることは避けます。苦痛には寄り添いながら、どの手助けをどう減らすか、治療者を交えて段階的に相談します。
当院では、繰り返し浮かぶ考えや行動の内容、費やす時間、仕事や家庭への影響を伺います。
気分の落ち込みや他の症状も確認し、薬物療法を中心に、ご本人と相談しながら治療を進めます。
診察では症状の仕組みを説明し、日常生活で困っていることや、ご家族の対応についても整理します。
専門的なERPなどが必要な場合は、対応する医療機関への紹介を検討します。
目標は、症状に費やす時間や苦痛を減らし、日常生活を送りやすくすることです。
経過を見る際は、不安の強さだけでなく、「外出の準備が早くなった」「家族と食事を取れる日が増えた」など、生活の変化も大切にします。
困る場面を一つか二つ挙げていただくと、治療の手がかりになります。
次のような困りごとがある場合は、早めにご相談ください。
症状に1日1時間以上かかることは診断の目安の一つですが、それより短くても、苦痛や生活への支障があれば相談の対象です。 |
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「こんなことを話したら変に思われるかもしれない」と、長く抱え込んできた方もいらっしゃると思います。
最初からすべてを説明する必要はありません。話せる範囲から伺い、困っていることを一緒に整理していきます。
当院は予約制ですので、事前にご予約ください。